1年1テーマで描くロシアの20世紀 著者はウクライナ出身ユダヤ人 本村凌二
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最近では、居酒屋でもロシアやウクライナのことが話題になる。酒宴の席に政治と宗教の話は持ちこむなといわれているのに、不可解なところが興味をかきたてるのだろう。
幸いにも、M・ホダルコフスキー『ロシアの二〇世紀 100の歴史の旅』(藤原書店、3960円)は「ロシアとは何か?」を考える上で、分かりやすく読ませる本になっている。しかも、ウクライナ出身のユダヤ人の手による歴史書であるから、まさに時宜にかなっている。
そもそも19世紀中ごろ以来、一方でロシアを西洋の一部とする「西欧派」があり、他方で独自の文明と伝統を持つとする「スラヴ派」がいた。
このようなロシア史を20世紀の100年について、1年ごとに100の話題をとりあげてくれる。1904年の日露戦争の時代、内務大臣プレーヴェは「革命を阻止するには、小さな勝ち戦こそが必要なのだ」と語ったが、テロリストの爆弾で暗殺され、屈辱的敗北を見届けることはなかったという。
戦争と革命で荒廃したロシアの街には、数百万人の孤児がいたらしい。それに対処して、27年、ソ連政府は共産主義者として育成する道を選んだ。だが、その道は険しく、数年後には子供のホームレス…
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週刊エコノミスト
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