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中国が新設した「国家データ局」とは? 真家陽一

国家データ局の政策遂行能力が見えるまでは、日本企業には好機とリスクの両にらみが求められそうだ(Bloomberg)
国家データ局の政策遂行能力が見えるまでは、日本企業には好機とリスクの両にらみが求められそうだ(Bloomberg)

 中国はデジタル経済の発展で必要不可欠となるデータの取り扱いに関して、基本法となる①サイバーセキュリティー法(2017年6月施行)、データの安全保障を目的とした②データセキュリティー法(21年9月施行)、個人情報の利用ルールを制定した③個人情報保護法(21年11月施行)という、いわゆる「データ3法」の法整備を中心に政策を推進してきた。

 そんな中国のデータ政策が現在、新たな段階を迎えた。23年3月に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で国務院機構改革案が審議され、国家機関として「国家データ局」が新設されることとなったのだ。改革案によれば、同局はデータ基礎制度の構築、データ資源の統合・共有および開発・利用、デジタル中国の建設などの職責を担い、国家発展改革委員会が所管する。新設に伴い、中国はデータを国家レベルで一括管理し、データの安全性を確保すると同時に、データ政策を一元的に推進していくことになる。

 国家データ局の業務として注目されるのが、「データ基礎制度の構築」だ。中国は22年12月、「データの役割をよりよく発揮するためのデータ基礎制度の構築に関する意見」を公表した。意見では、「基礎制度の構築は、国家の発展と安全保障の大局に関わる。中国の膨大なデータと豊富な活用シーンの優位性を十分に発揮し、経済発展の新たな原動力を増強することで、国家の競争における新たな優位性を確立する」と表明。データの財産権、流通・取引、収益分配およびガバナンスに関わる制度の構築を打ち出している。今後は試行モデルの実施、データの市場育成やインフラ強化などの政策措置が実施されていく見込みだ。

 もう一つ国家データ局の業務として注目されるのが「デジタル中国の建設」だ。中国は23年2月、「デジタル中国建設全体配置計画」を公表した。この計画は「デジタル中国の建設はデジタル時代において中国式現代化を推進する重…

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