中国で進む国有企業改革 ここ3年の労働生産性は3割増し! 神宮健
中国で国有企業改革が進む。
改革は40年以上続いているが、最近では2015年の「国有企業改革の深化に関する指導意見」(中国共産党、国務院。国務院は内閣に相当)が発表され、次いで、「国有企業改革3年行動」(20~22年)が22年に完了したところだ。3年行動の目標は、国有企業が競争力を持ち、イノベーション、サプライチェーン、国民生活保障、国家経済安全維持の面で、役割を発揮することであった。
3年行動の成果を国有資産監督管理委員会の発表などを基にまとめると、第一に中国の特色のある現代企業制度の確立、具体的には企業統治メカニズムの改革がある。全国に約8万社ある国有企業のうち3.8万社で董事会(取締役会)が設置され、中央政府所管の「中央国有企業」では外部取締役が多数を占めるようになった。
また、企業内の共産党組織の重要な決定・執行・監督への関与が強化された。中央国有企業では、党組織の書記と董事会会長が同一人となった。一方、中央国有企業と1.26万社の重要子会社で、党による事前の検討事項がリスト化され、党の役割が明確化された。
第二は、国有企業の再編だ。過去3年間、中央国有企業で4組7社、省レベルの国有企業で116組347社の戦略的な再編がなされた。鉄鋼や食糧などさまざまな分野で、市場メカニズムに基づき、本業への特化、重複投資の回避、サプライチェーン上の垂直統合などで効率性を引き上げた。再編の過程では戦略投資家としての民間資本の引き入れもあった。
第三に、競争原理に基づく経営メカニズムの健全化だ。足元で経営陣の任期制・契約化管理が進み約8万社、22万人に適用されている。業績が悪ければ解任される仕組みで、4.5%が解任された。また、経営層だけでなく、職員・労働者も実力主義が進んだ。
また、古い社会保障制度の下で国有企業が管理してきた定年後の人員を国有企業から切り離し、公的年金の制度下で…
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週刊エコノミスト
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