ドル基軸体制は変わらず 市岡繁男
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ウクライナ戦争で米国などがロシアの金融資産を凍結したのをみて、新興国は自国通貨を用いた貿易に取り組み始めた。今や「ドル基軸体制は崩落一歩手前」という声もあるほどだ。だが金に裏打ちされた通貨が現れない限り、ドル優位の時代が続くだろう。世界経済に占める米国の家計消費シェアが世界一だからだ(図1)。
ドルは米国の消費経済の規模と強さ、そして法の支配に基づく安定性に支えられてきた。他方、ドルに代わる通貨と目される中国人民元やユーロは、国際通貨としての信頼性に欠ける。
元を発行する中国人民銀行の資産は米国債などが全体の半分を占める(図2)。先進国は自国の国債を裏付けとして通貨を発行するが、国債の信用力が劣る新興国は外貨を担保にするしかない。ドルがおかしくなれば共倒れとなるようでは、元がドルより優位に立つことはない。
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週刊エコノミスト
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