ウェンディーズ 回復が早い米ファストフード大手 岩田太郎
有料記事
The Wendy’s Company 値上げで来客減も増収/79
ウェンディーズはハンバーガーを主力メニューとする米ファストフード大手だ。
中西部オハイオ州で1969年に創業した。ウェンディーズの店は今年1月現在、米国に5994店、日本を含む31カ国と米領土に計1101店に上っている。
牛肉のほか何も混ぜず、肉厚で四角く特徴的なパティを挟んだハンバーガーで知られ、赤毛の三つ編みの少女、「ウェンディー」をイメージキャラクターとしたマーケティングを展開する。ちなみに、ウェンディーのイラストは創業者が愛娘を撮影した写真を基に作図したものだという。
米国では2022年、新型コロナウイルスによる消費行動への影響がほとんどなくなった。ウェンディーズの米国市場の既存店売上高は23年1月期、前年同期比4.9%増と好調だった。年次報告書によれば、平均客単価の増加が来客数の減少を補ったことが一因という。投資家は原材料費高騰に伴う値上げにもかかわらず売上高が増えたことを評価している。一方、競合する同業の米マクドナルドの米国市場売上高は22年12月期、同8%減と対照的で、ウェンディーズの回復が早いことが分かる。
ウェンディーズは23年2~4月期も引き続き好調だ。米国市場の既存店売上高は同7.2%増だった。ペネゴール最高経営責任者は5月10日の決算説明会で「世帯年収7万5000ドル(約1028万円)超の消費者の売上高が伸び、シェアも維持している」と語った。
ペネゴール氏は「深夜と朝食を強化する」「深夜12時かそれ以降も営業していることを全米で宣伝する」とも語った。
ハンバーガー、フレンチフライ、ドリンクからなるセットの価格は5~6ドル(約685~822円)と米国の物価感覚ではお得感があるが、より高価な商品を購入するよう消費者に勧めており、手応えがあるとしている。
アプリ注文で利益率上昇
また、スマートフォンのアプリを使った注文の売上高は米国市場の11%、世界全体の12%に達した。注文時に店員が対応しなくていいため利益率が高く、収益向上に貢献している。これらの結果、売上高は前年同期比8.2%増の5億2880万ドル(約724億円)となった。アナリストたちは24年1月期売上高を同6~8%増と予想している。
一方、米国以外の売上高は23年2~4月期に同13.9%も増加し、伸び方が大きかった。米国外で最大規模のカナダをはじめ、インド、フィリピン、メキシコ、英国、スペインなどで事業を拡大中だ。
日本では1980年に初進出。02年に経営権がゼンショー(現ゼンショーホールディングス)に移ったが、業績不振で09年に撤退。11年に東京・表参道に再進出1号店をオープン、15年に「ファーストキッチン」と合同店を開くなどして出店を増やした。日本法人のウェブサイトによれば今年5月19日現在、東京都や神奈川県など…
残り1111文字(全文2311文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める