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景気と金利のサイクルがずれる世界経済 藻谷俊介

 世界の株式、特に日本株や欧州株が堅調に値を上げる一方で、欧米のエコノミストは何カ月も不況が来ると言い続けている。市場には常に意見の対立があるとはいえ、昨今の相いれない対立には困惑する投資家も多い。

 そんな中で、筆者が世界の景気波動を一目で把握する目的で使っているOECD(経済協力開発機構)先行指数が、この局面で初めて底入れしてきた(図1=筆者が主要国を網羅した17カ国ベース)。もっともOECD「先行」指数という名称には偽りがあり、実際には遡及(そきゅう)改定を経て数カ月前に底があったとなるため先読みにはならない。今回でいえば、4月の発表段階では底入れはしておらず、5月の発表で突然1月が底だったとなった。ただ、各国の多くの経済指標を合成して景気波動を引き出してくれる恩恵は大きく、この指標が反転すれば、まず景気は回復局面に入っている。

 ここで問題になるのが、金利サイクルとの不整合である。世界は利上げの最終局面にあり、長短金利差は逆イールドになっている(図2=同じく主要17カ国ベース)。教科書的にいえば、ここから不況に入って利下げが繰り返され、長短金利差はプラスに戻らなくてはならない。

米国の影響力は落ちた

 景気サイクルは底、金利サイクルは天井とずれてしまった理由は二つある。

 第一は政策金…

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週刊エコノミスト

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