新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

三宅島の噴火 21年周期なら次は2年後/148

火口から噴煙を上げる三宅島の雄山(2000年8月)
火口から噴煙を上げる三宅島の雄山(2000年8月)

 東京・伊豆諸島の利島村で5月22日、震度5弱を観測する強い地震が発生した。震源は活火山の新島と神津島の近海で深さは11キロメートル、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.3である。この海域では過去にも地震と火山の活動が密接に関連して起き、2000年にはマグマの地下移動に伴って三宅島が噴火している。

 00年の三宅島噴火では、6月26日に三宅島と神津島周辺で地震活動が始まり、27日に三宅島の西方沖で海底噴火が確認された。7月1日には神津島で最大震度6弱を記録する地震(M6.4)が発生し、各所で地すべりが発生。通行中の1人が亡くなった。

 さらに、7月8日には三宅島の山頂で小規模な噴火が発生し、その後に山頂が陥没し始める。8月半ばには直径1.6キロメートル、深さ450メートルのカルデラができた。この大きさは、2500年前に三宅島で形成された八丁平(はっちょうだいら)カルデラとほぼ同じである。

 8月18日にはマグマ貫入によるM6.0の地震が三宅島と神津島の間で起き(最大震度6弱)、同日の噴火で噴煙高が14キロメートルに達した。また、8月29日の噴火では低温で勢いの弱い火砕流が発生した。

 これに加えて、9月からは二酸化硫黄などの有毒な火山ガスの大量放出が始まり、9月2日に全島民4000人が島外へ避難した。火山ガスの放出量が低下して避難指示が解除されたのは、4年半後の05年2月のことである。

東日本大震災も影響

 20世紀以降において、三宅島は1940年、62年、83年、00年に噴火した。規則的に起きた約21年の噴火周期からすると、前回の噴火は4年ほど早かった。一方、その次の周期を考えると2025年になるので、三宅島で噴火が近づいている可能性は高い。

 次回の噴火は、11年に発生したM9.0の東日本大震災も関連する。全世界で20世紀以降、M9クラスの地震は8回起きているが、すべてのケースで震源域周辺の活火山が噴火している。

 同様に、東日本大震災が起きた後、浅間山、草津白根山、箱根山、富士山など20個の火山の地下で、地震発生直後から小規模の地震が急増した。実際、箱根山と草津白根山では噴…

残り495文字(全文1395文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事