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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

副業は会社のため、社会のためになりますか/176

バーナード・デ・マンデヴィル(1670~1733年)。オランダ生まれのイギリスの思想家。精神科医でもあった。優れた風刺や散文で知られる。著書に『名誉の起源』などがある。(イラスト:いご昭二)
バーナード・デ・マンデヴィル(1670~1733年)。オランダ生まれのイギリスの思想家。精神科医でもあった。優れた風刺や散文で知られる。著書に『名誉の起源』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 社内で副業が解禁。中には単に小遣い稼ぎのようなものがあるが…… 最近社内でも副業が解禁されたのですが、どうも若い社員を見ていると小遣い稼ぎのためにやっているとしか思えないようなものがたくさんあります。それでも会社のため、社会のためになるのでしょうか?(会社員・50代男性)

A 蜂の寓話に学ぶ「私悪は公益につながる」との概念を念頭に実践しよう

 副業に関しては過渡期であるだけに、さまざまな議論がありますね。とりわけ自分の利益のためにやっているだけなら、会社の利益と相反するのではないかとか、社会にとってマイナスになるのではないかという点が危惧されています。

 この問題について考えるためには、オランダ生まれのイギリスの思想家バーナード・デ・マンデヴィルによる「蜂の寓話(ぐうわ)」が参考になると思います。巣の中の個々の蜂は醜い私欲と私益の追求にあくせくしているけれども、巣全体は豊かに富み、力強い社会生活が営まれている事実を指摘したものです。この蜂の寓話はそのまま本のタイトルになっているのですが、副題にある「私悪は公益なり」という主張がその本質をよく表しています。

世の衰退促す美徳神話

 マンデヴィルは、人間の本性を理性よりも情念に見いだし、私悪に基づく行為が、結果として公益につながると主張したのです。実際、虚栄や強欲といった私悪に基づいて行われた行為が、結果として社会を潤すことによって、公益に資…

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