教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

人付き合いがうまくいきません。素直になる方法を教えてください/177

ミシェル・アンリ(1922〜2002年)。フランスの哲学者。生について考察した孤高の哲学者として知られる。著書に『現出の本質』などがある。(イラスト:いご昭二)
ミシェル・アンリ(1922〜2002年)。フランスの哲学者。生について考察した孤高の哲学者として知られる。著書に『現出の本質』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 人付き合いがうまくいきません。素直になる方法を教えてください 昔から自分で殻を作ってしまう傾向があり、人付き合いがうまくいきません。もっと素直になり、人の輪に入るにはどうすればいいでしょうか?(物流会社勤務・40代男性)

A 受け入れたいという情感性を磨き、自然体で人に接してみて

 殻を作ってしまうのは何らかの原因があるのだと思います。もともと人とかかわるのを面倒に感じる性格なのか、過去に嫌な経験をしたか。いずれにしても、今現在は素直に人と付き合いたいと思っているのであれば、いくらでも変わることができると思います。

 参考にしたいのは、フランスの哲学者ミシェル・アンリの「情感性」という概念です。情感性の原語はフランス語のアフェクティヴィテです。この語は一般に情緒とか情動性と訳されますが、哲学用語としては情感性と訳されています。

 アンリはこれを受動性と情念からなる生の本質として捉えています。つまり、人が生きる過程においては、常に何かを受動的に感じて受け入れるのと同時に、それを受け入れたいと感じる情念のようなものが働いているというのです。

子ども時代を思い出す

 さらにアンリによると、そうした情念は身体性に基づくものだといいます。意識とは別に身体が求めるものがあるということです。したがって普通は、誰かと出会えば身体が自然にその人を求め、付き合いが始まるものなのです。

 もちろん、その結果合わな…

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