週刊エコノミスト Online 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

気候危機を回避する直接的な行動を教えてください/178

エイヴラム・ノーム・チョムスキー(1928年~)。アメリカの言語学者、思想家。生成文法の提唱で知られるとともに、左派知識人として旺盛な言論活動を行っている。著書に『知識人の責任』など。(イラスト:いご昭二)
エイヴラム・ノーム・チョムスキー(1928年~)。アメリカの言語学者、思想家。生成文法の提唱で知られるとともに、左派知識人として旺盛な言論活動を行っている。著書に『知識人の責任』など。(イラスト:いご昭二)

Q 気候危機を回避する直接的な行動を教えてください 最近、気候危機をテーマにしたテレビの特別番組を目にすることが増え、何かしなければと感じています。エコバッグは日常的に使うようになりましたが、もっと直接的な行動はできないものでしょうか?(会社員・20代女性)

A 社会的圧力など「新しいものたち」として台頭した社会活動を実践しよう

 環境省が気候変動を気候危機と表現するようになって以来、日本でもこの問題への意識が急速に高まっているように思います。単なるエコ活動を超えて、何かをしなければと思っている人も多いのではないでしょうか。

 そこで参考にしたいのは、アメリカの思想家エイヴラム・ノーム・チョムスキーの考えです。チョムスキーは言語学の権威であると同時に、さまざまな社会問題に対して批評を展開する思想家としても知られています。

 彼にいわせると、気候危機は資本主義をきちんと管理できていないことによって生じている問題なのです。そうすると、本来は市場への介入や政府によるイニシアチブに期待するよりほかないわけです。ただチョムスキーの場合、産業体制の中枢を労働者や地域社会の管理下に置くことで、社会化することの有効性を訴えています。

 具体的には、労働者による所有や協同組合に関する活動、あるいは民衆による社会活動や圧力を例に挙げています。つまり、労働運動だけでなく、消費者としての市民が声を上げることで、企業…

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