教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

医者から肥満防止のため食事制限をいわれました。真剣にダイエットする方法は?/179

エピクロス(紀元前341~同270年)。ヘレニズム期の哲学者。エピクロス派の創始者。精神的な快楽を重視し、快楽主義を唱えるに至る。本人は著書は残していない。(イラスト:いご昭二)
エピクロス(紀元前341~同270年)。ヘレニズム期の哲学者。エピクロス派の創始者。精神的な快楽を重視し、快楽主義を唱えるに至る。本人は著書は残していない。(イラスト:いご昭二)

Q 医者から肥満防止のため食事制限をいわれました。真剣にダイエットする方法は? ダイエットしたいのですが、つい食べ過ぎてしまいます。医者からも肥満を指摘され、食事制限するようにいわれていますが、真剣に取り組めません。(会社員・40代男性)

A 肥満と死のリスクをてんびんにかけてみよう。適切な量であれば胃袋の快は善なのですから

 私も何度もダイエットに挑戦しては、挫折を繰り返しています。やはり食べるのが好きなのです。ヘレニズム期の哲学者エピクロスのいう通りです。彼はこんなふうに書いています。

「いっさいの善の始めであり根であるのは、胃袋の快である」

 食べることは、人間にとって単なる生命維持を超えて、すべての善のベースになっているというのです。エピクロスは快楽主義者と呼ばれますが、その快楽の根源は食べることにあったのです。

 ただ、だからといってたくさん食べれば快楽が増すかというと、そうではありません。また、ぜいたくをすればそれで幸せなのかというと、そうでもないのです。私たちはどうしても量や質を求めてしまいますが、エピクロスはそのいずれをも否定しています。

 何しろ彼は適切な量だけを食べるよう勧めていますし、水とパンだけで快楽を得られるといっていますから。実はよく誤解されているのですが、エピクロスのいう快楽主義は、快楽をむさぼることとは正反対の考え方なのです。

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 彼の掲げる快楽…

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