知の巨人・立花隆「小泉『専制』政治の末路を見届けよ」(2006年7月4日)
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週刊エコノミストは、各界の第一人者にロングインタビューを試みてきました。2004年から「ワイドインタビュー問答有用」、2021年10月からは「情熱人」にバトンタッチして、息長く続けています。過去の記事を読み返してみると、今なお現役で活躍する人も、そして、今は亡き懐かしい人たちも。当時のインタビュー記事から、その名言を振り返ります。※記事中の肩書、年齢等は全て当時のままです。
評論家・ジャーナリスト 立花隆
ワイドインタビュー問答有用(2006年7月4日掲載)
数々のルポルタージュや評論で日本社会の暗部を白日の下にさらしてきた「知の巨人」、立花隆さん。4月に上梓した最新作『滅びゆく国家』は、小泉改革の本質に鋭く切り込み、100年に1度の大変革期に備えよ、と読者に訴えかける。(聞き手=稲留正英・編集部)
―― 『滅びゆく国家 日本はどこへ向かうのか』(日経BP社)は、ウェブに連載した様々な時事評論を取り込んだユニークなスタイルが話題になりましたが、その根幹には、日本の行く末に対する強い危機感があります。
立花 昨年(2005年)は戦後60年の節目の年でした。60年というのは人の一生に相当する期間であり、一国の体制にとっても大きな変化をもたらします。例えば、日本は1868年の明治維新で封建社会から近代国家へ体制が激変しました。それから60年目にあたるのが、1927(昭和2)年です。これは、15年戦争が続く昭和動乱期が始まる直前の時期です。また、大日本帝国は1889(明治22)年に明治憲法(大日本帝国憲法)が発布されてから、1945(昭和20)年の敗戦により56年で滅亡しました。
現在の日本も、こうした100年に1度あるかないかの大変革期、曲がり角にあるのです。曲がっている最中だから、当然、その全貌は我々には分かりません。しかし、何年か後に振り返ってみれば、明治維新や昭和の動乱期に匹敵するような「国家システムの大変革期」にあったということが分かってくると思います。
小泉改革は「日本」をぶっ壊した
立花さんは、01年に誕生した小泉純一郎政権の下で進行した「改革」により、戦後民主主義で当たり前とされた「平等」「平和」などの大原則が、なし崩し的に葬り去られたことに危機感を抱く。
―― 小泉改革の5年間をどう評価しますか。
立花 小泉改革そのものは、田中角栄に代表される自民党の旧体制が築いてきた…
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週刊エコノミスト
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