韓国化粧品最大手のアモーレパシフィック・グループ 宮川淳子
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AMOREPACIFIC Group 中国依存からの脱却が今後のカギ/84
アモーレパシフィック・グループは1945年設立の韓国化粧品最大手だ。傘下に置く子会社は連結売上高の9割を占めるアモーレパシフィックのほか、「雪花秀(ソルファス)」「ラネージュ」「イニスフリー」「エチュード」などの化粧品ブランドや海外販売をそれぞれ受け持つ38社。アモーレパシフィック・グループとアモーレパシフィックは親子上場の形で韓国証券取引所に上場している。
韓国コスメの先駆け「BBクリーム」
「韓国コスメ(化粧品)」の人気が日本に広がるきっかけとなった商品は「BBクリーム」だろう。古くから使われてきた皮膚用の軟膏(なんこう)を韓国の化粧品メーカーが化粧品として売り出したものだ。インターネットの化粧品サイトの書き込みによると、化粧好きとして知られる日本の芸能人が2008年ごろ、テレビ番組で「エチュード」のBBクリームを紹介した後、じわじわと広まった。
業界紙『週刊粧業』は10年に国内で大ヒットしたと伝えている。市場調査会社の富士調査による11年のインターネット調査では、対象となった20~59歳の女性640人のうち、31%がBBクリームを使用していたという。
英語圏メディアの報道によれば、ほぼ同時に欧米にも広まったようだ。13年11月15日付の『日本経済新聞』には「アジアの化粧品市場で韓国メーカーの存在感が高まっている」と書き出す記事が載り、韓国化粧品メーカーの市場シェアが中国でコーセーを抜き、ベトナムで資生堂を上回ったことを伝えた。
韓国コスメの輸出増に寄与した要因は、欧米や日本の製品に比べて安価であるほか、韓流ドラマやKポップといった韓国カルチャーの認知度が高まったことが考えられる。また、韓国政府は市場調査や輸出手続きの簡素化などに加え、研究開発費の一部を補助するなど企業の海外進出を支援。そのかいもあって、中国で韓流ドラマや韓国化粧品の人気が高まった。
化粧品子会社のアモーレパシフィックは20年、中国免税店最大手「中国免税店集団(CDFG)」と戦略的業務提携を結んで販売増を目指すなど力を入れてきた。追い風を受け、アモーレパシフィック・グループの売上高は10~19年、年平均で11%成長し、20%を超えた年もあった。
伸びる北米の売上高
しかし、新型コロナウイルスの感染が世界に拡大する中、化粧品の需要は低迷した。同社の22年12月期売上高は前期比15.6%減の4.5兆ウォン(約4944億円)に落ち込んだ。人件費、広告宣伝費、販売手数料などの費用を削減したが、8311億ウォン(約914億円)もの減…
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週刊エコノミスト
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