AI相手に体をはるイーサン・ハント 今回はバイクで断崖から大ジャンプ 勝田友巳
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映画 ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
トム・クルーズがスパイ組織IMF(不可能作戦部隊)のエージェント、イーサン・ハントを演じる大作シリーズの7作目。スパイアクション映画は数あれど、これほど観客サービスに徹し、可能性を追求し続ける作品はほかにない。第1作公開から27年、1作ごとに進化して他の追随を許さない。
物語の枠組みは第1作からほぼ同じ。ハント率いるIMFチームは味方のはずの組織からも追われる羽目になり、孤立無援で奮闘する。アクションのスケールが大きくなる一方で、筋立ても次第に複雑になっている。
今回は、ロシアの原子力潜水艦のコンピューターが何者かに乗っ取られるところから始まる。操っていたのは暴走するAI(人工知能)で、制御するためのカギ(キーワードや暗号解読のためではなく、シリンダーキー!)を巡って争奪戦が勃発する。
マフィアやら政府組織やら武器商人が入り乱れ、シリーズの過去作からの流れに基づいた新たな登場人物も現れる。「善も悪もない、立場を選べ」などという現代国際社会への洞察もまぶし、ハントのIMF以前の過去も示唆される。一度ではのみ込めない上に、2024年公開予定の後編と合わせて2部作だから、筋を追おうとしたら付いて行くのは大変だろう。
しかし、全部理解できなくても大丈夫。体を張ったクルーズを見るだけでも価値がある。シリーズのアクションは「侵入」と「脱出」の繰り返し。ハントと彼が率いるチームは何かを盗み出したり仲間を助け出したりするために…
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週刊エコノミスト
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