新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

人出回復でも景気は足踏み 消費マインドの低迷背景か 久保和貴

人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のコスプレを楽しむ中国の若者(上海市内で2023年6月) 筆者撮影
人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のコスプレを楽しむ中国の若者(上海市内で2023年6月) 筆者撮影

 中国が2022年末、新型コロナの感染拡大を封じ込める「ゼロコロナ政策」を電撃的に解除したことを受け、中国経済がコロナのダメージから本格回復するか焦点となった。ただ、現在では否定的な見方が広がっているようだ。足元では、政府による景気支援策が期待されるまでに市場関係者の期待はしぼんでいる。

 筆者は今年3月に上海に赴任し、中国がリオープン(経済再開)するかを観察してきた。市内を見る限り人流は大きく回復し、観光地は写真を撮るインフルエンサー(網紅(ワンホン))で埋め尽くされた。夜にはプロジェクションマッピングが高層ビル群を彩り、文字通り「街が生きている」という印象を持った。

 上海では現在、日本に関連した消費が盛り上がりを見せている。6月には日本の回転ずしチェーン「くら寿司」が中国大陸最初の店舗を構えたほか、中心部では日本のゲームを題材にしたコンセプトショップが新たに開店した。日本のキャラクターのコスプレをする中国人も散見される。

 6月の端午節連休は、湖南省長沙市を訪問した。同市は人口1000万人を超える中国有数の大都市で、13年以降は北京や上海に次ぐ「新一線都市」に位置付けられた。上海に劣らぬ活気に満ち、繁華街は非常ににぎわっていた。「ご当地グルメ」の店舗には長い列ができ、人気の「映えスポット」にはスマホや自撮り棒を握りしめた観光客が押し寄せた。

 中国に来てからの3カ月間は、どこに行ってもヒト、ヒト、ヒトという印象だった。中国景気の復活は現地で見る限り確かなものに思えた。ただ、冒頭に述べた通り、経済指標は市場予想に比べると弱めの動きが続いている。筆者が見聞きした「強い人流」と、「弱含みの経済指標」をどうしたら整合的に解釈できるか、頭を抱えているのが正直なところだ。

「2軒目」消費不発?

 そのヒントがあった。前述の端午節連休について、中国文化観光省は国内旅行者数が19年同期を12.8…

残り579文字(全文1379文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事