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円安の進行でエンゲル係数が上昇 市岡繁男

 厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計によると、物価変動を加味した実質賃金は14カ月連続のマイナスだった。所定内給与の伸び率は前年比1.8%増だったものの、それ以上に物価が上がっている。

 また総務省が発表した5月の家計調査報告では、実質可処分所得(2人以上の勤労者世帯)は前年比7.5%減だった。可処分所得とは所得から税金や社会保険料を差し引いたもの。物価上昇による所得減に加え、税・社会保険料はインフレになれば自動的に増えるので、家計が使えるお金はこの1年で急縮小している。

 預貯金も目減りを免れない。物価上昇率が4%なら100万円の預貯金は1年後、実質96万円となる。家計が保有する預貯金は1100兆円なので、年間44兆円も蒸発する計算だ。

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