ペトロダラー終焉は金利上昇要因ではあるが…… 市岡繁男
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経済リスク管理の専門家J.リカーズ氏は6月、米金融サイトで「過去52年間で最大の金融ショックが起きる」というコラムを掲載した。要旨は、①8月22〜24日に南アフリカで開催の「BRICS+」諸国・年次首脳会談(中露印、ブラジル、南アとサウジアラビアなどが参加)で、金と連動した新通貨の創設を発表する。これは1971年以来、国際金融における最大の激変となる。②現物の金準備に裏打ちされた新通貨が登場すると、ドルなど西側通貨の信用は失墜し、インフレ率が上昇する可能性がある。
本当にそんな新通貨が登場するのかは分からない。だが、中国はすでにロシアとの貿易で人民元での決済を行っており、そこにサウジが加われば「原油はすべてドル決済」というペトロダラー体制に打撃を与えよう。どの国が原油を輸入しても決済通貨がドルである限り、最終的には米銀に還流し、低コストの預金を得てきた米銀のメリットが失われるからだ(図1)。
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週刊エコノミスト
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