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新NISA対象の投資信託は2000本超 選ぶ目安は「つみたて枠」「成長投資枠」 頼藤太希

投資信託協会が発表した新NISAの投資対象となる投信の一覧
投資信託協会が発表した新NISAの投資対象となる投信の一覧

 来年1月、分配金や売却益などが非課税になる「NISA」が大幅に拡充する。約2000本にも上る投資信託のどれを選べばいいのか。

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 投資信託協会は7月10日、来年始まる新NISA(少額投資非課税制度)の対象となる投資信託の一覧を発表した。公募投信、ETF(上場投信)、REIT(不動産投信)の計422本だ。6月21日に発表していた分を合算すると1427本になる。投信の総数は6200本超だから、4分の1が新NISAの対象に決まった計算だ。投信協によれば、対象商品を8〜12月にかけて追加発表する。最終的に全体の3割に上る約2000本が新NISAの対象となる見込みだ。新NISAを活用して資産運用を考えている人は、それほど多い投信からどれを選べばいいか迷うだろう。

 まず検討したいのは「つみたて投資枠」を使って投資する投信だ。つみたて投資枠とは、「毎月1万円」といったように定期的に継続して積み立て投資することを条件として、年120万円までの投資によって得られる分配金や売却益が非課税になるというもの。現行のNISAにも「つみたてNISA」という年40万円を上限とする投資枠がある。つまり、来年始まる新NISAでは、積み立て投資の年間投資枠が今の3倍に増えるわけだ。

 金融庁はつみたて投資枠の対象となる投信に厳しい要件を設けている(現行制度のつみたてNISAも同じ)。

 公募投信の場合、購入時に支払う販売手数料がかからない▽毎年支払う信託報酬が安い。例えば、国内株のインデックス(指数)投信の場合は0.5%以下▽信託契約期間が無期限か20年以上▽分配金が出る頻度が毎月でない▽為替変動を防ぐ目的を除き、デリバティブ(金融派生商品)取引による運用をしていない──などの要件を満たさないとつみたて投資枠の対象商品にならないのだ。

 つみたて投資枠の対象指数にも制限があり、投資家に人気のある米ナスダック100種株価指数に連動するインデックス投信は含まれていない。配当利回りが高い株式を組み入れた日経平均高配当株50指数に連動する投信も対象外となっている。

バランス型投信

 一方、つみたて投資枠の対象になっているインデックス投信には、TOPIX(東証株価指数)、日経平均株価、米国の代表的株価指数のS&P500種株価指数に連動するタイプが含まれる。今後、対象指数が拡充されるのか注目したい。

 具体的にどんな投信を買えばいいのか。「資産運用するには国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4資産分散といった具合にポートフォリオを組むのがよい」というのが教科書的な説明だ。実践するには、それぞれの資産を組み入れた投信を4本購入することになる。

 もう一つの方法は、複数の資産を組み入れた「バランス型」というタイプの投信を1本だけ購入することだ。表1につみたて投資枠の対象となるバランス型を挙げた。メリットは「リバランス」をせずに済むことだ。

 バランス型を買わず、投資先の資産が異なる投信を4本購入するとしよう。国内株式型、外国株式型、国内債券型、外国債券型に毎月5000円ずつ積み立てるといった具合だ。それぞれの資産比率は25%になる。投資し始めてから数年たてば、それぞれの値動きに差があることから、資産比率は大きく変動するだろう。その場合、比率が高い投信を売り、低い投信を買い増してそれぞれの資産比率を25%に戻すことをリバランスという。

 リバランスをしたほうがしない場合と比べてリターンが高くなることが分かっている。だから定期的にリバランスをすべきだが、面倒な作業と思う人もいるだろう。そんな人はバランス型投信を1本だけ買えば、自分でリバランスをせずに済む。運用会社が投資家に代わって面倒な作業をしてくれるからだ。

 投資家のリスク許容度によっては、バランス型より積極的なリターンを目指す手もある。そんな人は利回りが相対的に低い債券には投資せず、米国や全世界の株式に分散投資する投信を選ぶといい(表2)。

「成長枠」で積み立て

 次に「成長投資枠」に話を進めよう。新NISAの年間投資枠は240万円だ。現行制度の120万円から倍増する。成長投資枠はつみたて投資枠とは違い、上場株式も対象になる。元々関心があった企業や業界の株式を年に数回買うなら、この枠を使える。

 ややこしいことに「成長投資枠で投信を積み立て投資」も可能だ。例えば、前述したナスダック100種株価指数や日経平均高配当株50指数に連動する投信を成長投資枠で毎月、定額購入する手がある。

 成長投資枠で選ばないほうがいいと筆者が考える投信を挙げておきたい。「テーマ型」と呼ばれるタイプだ。「ロボット」「VR(仮想現実)」「AI(人工知能)」といった新技術に関係する企業の株式を組み入れたり、「インド」「ブラジル」「宮城県」といった特定の国や地域に関係する株式を組み入れたりする投信だ。販売する側にとっては、世間で話題になっているテーマに関係する投信を新規設定すると販売しやすい。

 筆者の経験上、テーマ型は勧められない。関連株式の株価がピークを付けている時期に新規設定されることが多く、値上がりしにくいからだ。気になるテーマがあれば、それに関係する企業の株式を買う手もある。テーマ型投信の運用報告書を読めば、どんな株式を組み入れているか一目瞭然だ。

提携カードに注目

 最後に、どの会社にNISA口座を開けばいいのか迷っている人に一言。投資できる投信や株式の種類が多いSBI証券、マネックス証券、楽天証券のいずれかに口座を設けるのがいいだろう。細かい違いがあるが、筆者は提携クレジットカードを挙げておきたい。投信に積み立て投資した分はクレジットカードで決済でき、代金の0.5〜1%程度を「ポイント」として手にできる。使えるカードはSBI証券の場合は三井住友カード、楽天証券の場合は楽天カードだ(マネックス証券はマネックスカード)。いずれかを保有している人は、提携先の証券会社に口座を開くのがいいだろう。

(頼藤太希・マネーコンサルタント、Money&You代表取締役社長)


週刊エコノミスト2023年8月8日号掲載

日本株 新NISA 「つみたて枠」はバランス型を1本 「成長投資枠」はテーマ型を避けて=頼藤太希

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