経済・企業 生命保険

インタビュー 清水博・生保協会会長「外貨建て保険の取引を点検」

清水博・生命保険協会会長(日本生命社長)=武市公孝撮影
清水博・生命保険協会会長(日本生命社長)=武市公孝撮影

 生命保険協会の会長に7月、日本生命保険の清水博社長(62)が就任した。2019年に続いて2回目の会長となる清水氏に取り組むべき課題などを聞いた。(岩崎誠・編集部)

――協会として今年の重点課題に「顧客本位の業務運営」をあげている。

■「顧客本位の業務運営」を中心に置かざるを得ないのが業界の状況。まずは営業職員のリスク管理やコンプライアンス。営業職員の不祥事はゼロになっておらず、ゼロに向けて対応しなければならない。協会が今年2月、リスク管理の高度化への対応をまとめた文書に沿って営業職員の販売チャネルを持つ20社程度が自社の取り組みをまとめつつある。これを深めるために役員レベル、また社長レベルの意見交換の場を作っていきたい。

――外貨建て保険についても注視する対象と聞く。

■いま重大な問題が起きているわけではないが、海外で金利が上がり、円安が進むことで外貨建て保険の販売が伸びている。生命保険会社が作った保険を銀行などが窓口で代行して販売している。(利益確定の)解約を含めて取引が活発になり、問題が出やすい状況なので金融庁からも実態をよくみて苦情がおこらないように顧客本位の業務運営を徹底するよう指導されている。全国銀行協会とともに、まず現状を認識したうえで対応できることを考えていく。

 顧客本位の業務運営という考え方の中で、金融リテラシー(知識や判断力)の一層の向上に取り組みたい。これまでも生命保険文化センターとともに学校などに講師を派遣してきたが、その延長線上で日本損害保険協会とも連携して何ができるかを考えたい。

――税制改正要望は今回、従来のものを見直した。

■生命保険料控除の限度額を引き上げることはこれまでも要望してきたが、一部を見直した。一般生命保険については扶養する子供がいる世帯にはより控除額を上げ、扶養する子供がいない家庭は現状維持とメリハリをつけた。より子育てで収入が厳しい家庭には控除を増やすことで子育てに使っていただきたい。

――そうした意味では少子化問題への対応も課題か。

■はい。保育所などへの資金援助など、少子化問題への対応策について協会でやっていること、各社でやっていることをそれぞれいったんとりまとめて業界外に発信することを考えている。そのうえで各社が今後考えていることをまとめて共有していきたい。

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