世界で一冊のレターギフトを――濱本智己さん
ネイチャーオブシングスFounder/代表取締役 濱本智己
「手紙×絵本」スタイルで、大切な人へ世にただ一冊だけの贈りものを届ける。(聞き手=北條一浩・編集部)
コミュニケーションについて考えることを仕事の中心に据え、人の気持ちにしっかり届く方法を常に模索し、提案しています。
弊社がリリースする「シカケテガミ」は、手紙という古くてあたらしいツールにあらためて注目し、絵本をミックスして、メッセージがそのまま一冊の本として相手に届くようにしたサービスです。これを「レターギフト」と呼んでいます。
作り方を説明しましょう。まずサイトにアクセスして、「パパから子どもへ」「女性から男性へ」など、送りたい・贈りたい対象に応じて選択します。「シカケテガミ」には定型文、選択文、自由文があり、ストーリーも30種類ほど用意しています。それぞれのストーリーに応じて、プロのイラストレーターが描いた絵が展開していきます。
こうしたフォーマットを設定しているのは、プロの作家でもないかぎり、手紙の文章と絵を一般の方がゼロから作るのは相当難しいと思うからです。そこで、レターギフトを贈りたい相手と自分との関係について、このストーリーに近いな、と思うものを選んでいただくわけです。
その上で、著者が自由に作れる部分も用意しています。まずはアバター形式で、髪形やヒゲなど、相手と自分の顔をオリジナル作成すること。もう一つは、ラストに入れる自由文。ここにオリジナルメッセージを書いてください。
作成した本は、1週間から10日で製本・印刷までできあがります。書店に並ぶ一般の絵本と比べてもまったく遜色のないハードカバー製で、シックなデザインの専用ケースが付いています。
パーソナルなツールを作りたい
私はこれまで、主に広告分野でクリエーティブディレクターとして仕事をしてきました。そこで漠然と感じてきた違和感が、娘が生まれたことで決定的になったんです。
娘が生まれた時、自分の命より大事なものがこの世にはあるということに感極まりました。同時に、出産という大きなことを成し遂げた妻の偉大さを痛感し、この感謝をなんとか伝えたいと思うようになりました。
自分がほんとうにやりたかったのは、マスではなく、こうしたパーソナルなコミュニケーションを今までにないカタチで提案することだったんだと、ようやく自覚できました。
とはいえ、最も愛する人に目の前で感謝の言葉を伝えるなんて恥ずかしくてとてもできないし、通常の手紙だって無理です。そこでいろいろ試行錯誤してたどり着いたのが「シカケテガミ」で、これを多くの人に利用してもらうべく、会社を設立しました。
2月には、「シカケテガミ」の発展形として、「寄せ書き」をやはり絵本として贈るサービスを始めました。名付けて「RETTEL(レッテル)」。LETTERを逆から書いたものです。「シカケテガミ」が1対1なら、こちらは送別の際など、多数が1人に贈るレターギフト。
この新サービスにもぜひ注目していただきたいと思います。
企業概要
事業内容:コミュニケーションをめぐる出版物・電子出版物、ギフト商品の企画・開発、製作及び販売マーケティング等
本社所在地:東京都渋谷区
設立:2021年3月
資本金:399万円
従業員数:6人(パートタイマー含む)
週刊エコノミスト2024年5月14・21日合併号掲載
濱本智己 ネイチャーオブシングス Founder/代表取締役 世界で一冊のレターギフトを