陰謀論めく発言繰り返すJFKのおい 米大統領選“出馬”の波紋 西田進一郎
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米国で「最も有名な一家」と称されるのが「ケネディ家」だ。その名門に最近、さざ波が立っている。きっかけは、ロバート・ケネディ・ジュニア氏(69)が2024年大統領選への立候補を目指し、民主党の候補指名獲得へ名乗りを上げたことだ。
ジュニア氏は、故ロバート・F・ケネディ元司法長官の次男で、故ジョン・F・ケネディ元大統領(JFK)のおいにあたる。ハーバード大を卒業後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを経て、バージニア大学法科大学院などで博士号と修士号を取得した。弁護士として大気や河川の水質汚染の問題に取り組んだ。
問題は、根拠の乏しい発言の数々だ。04年大統領選は民主党の勝利が共和党に奪われたと主張。ワクチン接種を自閉症の診断例増加と結びつけたり、新型コロナウイルスのワクチン義務化をナチスになぞらえて批判したりした。
米メディアの報道も、その主張や政策より「ケネディ家」に注目したものが目立つ。7月の各種世論調査では、現職のバイデン氏が大半の調査で民主党支持層の6割以上の支持を得ており、候補指名獲得争いで圧倒的に優位に立つ。
ケネディ家は困惑
ただ、陰謀論めいた発言を繰り返し、政治経験もないジュニア氏も10%台半ばの支持率を得た。
その背景には、民主党支持層のバイデン氏に対する不満がある。米史上最高齢の大統領で、現在80歳。健康不安説もたびたび浮上している。再選を望まない人は民主党支持層でも3分の1を超えるという世論調査結果もある。それに対し、ジュニア氏は70歳手前だ。環境や子どもの健康保護など自身が関わってきた分野に加え、カネのかからない政治や政府機関と大企業との癒着排除などを訴えている。これらがリベラルな支持層に歓迎され、不満の受け皿になっているようだ。
もう一つは「ケネディ家」の威光だ。その強さは調査会社ギャラップが7月に発表した世論調査結果でも際立っていた。過去約半世…
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週刊エコノミスト
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