大統領選に第3の選択肢「ノー・レーベルズ」登場 吉村亮太
有料記事
2024年の米大統領選の予備選の開始まで半年を切ったせいか、選挙戦の行方について意見交換する機会が増えてきた。現段階で確信を持って言えるのは、前回の大統領選と同じ顔合わせ(バイデン氏対トランプ氏)になりそうということくらいか。米国政治の定点観測をするのが自分の仕事のひとつであるにもかかわらず、勝敗については「五分五分」のような無難な回答しかできず、じくじたる思いだ。
ただし、4年前のドラマの“再放送”になるのかといえば、そういう単純な話でもない。致命傷になるかもしれないジョージア州の選挙結果を覆そうとした容疑も含め、トランプ氏は都合4回起訴されている。スキャンダルが常態化していることですっかり鈍感になっているが、冷静に考えたらあり得ない事態だ。
一方、インフラ法を成立させるなど評価されるべき点はあるものの、バイデン氏も無傷には程遠い。前大統領同様、機密文書の不正所持容疑で特別検察官が捜査を行っている。司法取引により早期幕引きになるかと思われていた次男のハンター氏にも突然、特別検察官が任命され、今後の展開が読めなくなってきた。疑惑を受け、大統領を弾劾すべきとの下院共和党保守派の声が高まっている。
しょせん「夢物語」?
米国には2大政党制の長い歴史がある。全国区の知名度に加えて、卓越した発信力、強力な集金力、広い国土をカバーする組織力・動員力なくして大統領選は戦えない。一定の基準をクリアせねば、討論会のステージに立つことすらできない。それゆえに中小の政党が躍進するのは不可能といわれる。しかし、そうと分かっていても、2大政党の候補者に満足できないと、にわかに第三の選択肢にスポットライトが当たり始める。
最近、注目を集める「ノー・レーベルズ(無印)」もその一つだ。中道寄りの政治家を抜てきしてペアを組ませ、その名前の通りどちらの党にも属さない大統領・副大統領として当選させることで、今…
残り556文字(全文1356文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める