新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

中国輸出の新御三家=新三様がGXの波に乗り活況 神宮健

中国メーカーのEVがそろったモーターショー。「新三様」の一つとして輸出を支える(2023年4月18日)
中国メーカーのEVがそろったモーターショー。「新三様」の一つとして輸出を支える(2023年4月18日)

 中国景気全体が低迷している一方で、脱炭素社会に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)関連分野が高い伸びを示している。中でも注目されるのは、主力輸出品の電気自動車(EV)、リチウム電池、太陽電池だ。従来の中国輸出の御三家である「衣服、家具、家電」(老三様)にちなんで、「新三様(新三種)」と呼ばれる。

 上半期の輸出全体が前年同期比3.7%の伸びにとどまる中、「新三様」商品の輸出は同61.6%増加し、全体の伸びの約半分を占めた。工業生産付加価値でも、上半期全体の伸びは同3.8%増だったのに対しリチウム電池は同29.7%増だった。新エネルギー車は生産量ベースで同35.0%増、太陽電池は同54.5%増だった。

 政府のインフラ投資などを含む「固定資産投資」は全体で同3.8%増と低迷したが、自動車製造業は同20%増、電気機械・器材製造業は同38.9%増で、EVなどのGX関連が影響したとみられる。

「新三様」商品の主な輸出先は、米国、欧州連合(EU)、英国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など。中国企業が世界の車載電池市場のシェアの約6割を占めているように、新三様商品は国際競争力があり、各国で強まる脱炭素化の動きにも乗っている。

 実際、今年第1四半期に中国の自動車輸出台数が日本を抜いて世界第1位となった背景には、新エネルギー車の輸出台数が前年同期比で2倍強と全体を後押ししたこともある。

 リスクとしては、米国などによる中国製品に対する輸入規制が挙げられる。ただし、先進国の対中戦略がデカップリング(切り離し)からデリスキング(リスク低減)へ表現を変化させたように、サプライチェーンから中国を完全に切り離すのは難しい。中国も、発展途上国の市場の開拓や現地生産などを進めている。

 原材料価格の変動リスクに対して、中国は産業チェーン全体のコントロールを目指しており、実際、リチウム電池の中国…

残り582文字(全文1382文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事