中国ITが生成AI開発を加速 政府は安全とガバナンス重視 真家陽一
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人間のようにクリエーティブな成果物を生み出せる「生成人工知能(AI)」。Open AI(AIの研究開発を目的に2015年に設立された非営利団体)が22年11月、対話型AI「チャットGPT」を公開して以降、世界的に注目を集めている。生成AIには業務効率化や生産性向上などのメリットが期待されている。
中国の産業界は生成AIの活用をビジネスチャンスと捉える。今年4月18日にはモバイル通信産業の業界団体である中国移動通信連合会が、国有大手通信事業者の中国電信や中国移動などと共同で、産業界と政府や学界の懸け橋構築を目指す「GPT産業連盟」を設立。設立式で、倪健中・中国移動通信連合会執行会長は「AIの挑戦を受け入れ、デジタル時代の主導権を握り、中国を世界のイノベーションの中心にしなければならない」と表明した。
中国企業は大手IT企業であるBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)を中心に生成AIの開発を活発化している。7月7日にはアリババが画像生成AI「通義万相」、ファーウェイが大規模言語モデル「盤古」のバージョン3.0を発表した。スタートアップ企業や大学などの研究機関も開発を推進する。
中国政府はAIに関して、これまで重大なイノベーション分野の一つと位置付け、17年に「次世代AI発展計画」を制定するなど、成長戦略として政策を推進してきた。他方、AIには倫理違反や虚偽情報の拡散といったリスクも指摘されていることから、政策・法規、倫理規範などを含むガバナンス体系を構築し、チャンスとリスクの両立を模索してきた。
こうした中、中国政府は生成AIという新たな技術へ対応すべく、「生成AIサービス管理暫定弁法」を8月15日に施行した。①総則、②技術の発展とガバナンス、③サービス規範、④監督・検査および法的責任、⑤付則──の全5章24条で「生成AIの健全な発展と規範的な応用を促進し、…
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週刊エコノミスト
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