原発の使用済み核燃料処分場の誘致、賛否の大議論で町が分裂状態です/185
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Q 原発の使用済み核燃料処分場の誘致、賛否の大議論で町が分裂状態です 町が原発の使用済み核燃料の処分場の誘致でもめています。事前調査の段階で、手をあげた自治体には億単位の資金が交付されるので、地域振興の目的で誘致する動きがある一方、漁業や農業関係者を中心に反対しており、町を二分する大議論に発展しています。双方が納得できる方法はありますか。(会社員・40代女性)
A 感情ではなく町の未来を見据え、卓越した理性と自制で「認知的共感」を構築しよう
いわゆる迷惑施設の誘致に関する合意形成問題ですね。とりわけ原発関連施設に対しては、2011年の福島第1原発の事故以来、今も厳しい目が向けられています。他方で、地域振興政策を死活問題とする小さな町も多く、そういうところでは立場の違いから分断が生じてしまっています。
この問題については、アメリカの道徳心理学の権威、ポール・ブルームの思想を参考にしながら考えてみたいと思います。ブルームの「反共感」という概念は大きな議論を巻き起こしました。
感情が生む不合理知る
彼が主張したかったのは、私たちの感情がいかに誤った判断をもたらすかという点です。そのためブルームは、共感を「情動的共感」と「認知的共感」の二つに分けます。このうち彼が問題視したのは、感情をはさんでしまう情動的共感の方です。なぜなら感情をはさむと、人は身近な人を支持するなど郷党的な先入観を抱いてしま…
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週刊エコノミスト
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