中国Z世代に人気の日本製コンテンツを猛追する「国潮」とは? 久保和貴
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ゲームや漫画、アニメなどデジタルエンターテインメントの博覧会「ChinaJoy(チャイナジョイ)2023」が、7月28~31日に上海で開催された。20回目の今年も中国全土から大勢のファンが集まった。近年は東京ゲームショウの来場者を上回り、アジア有数の規模にまで成長している。
中国製、米国製のコンテンツが数多く展示されたが、やはり日本製は会場の規模や集客力といった点で際立ち、「機動戦士ガンダム」や「NARUTO─ナルト─」などのブースは大盛況だった。日本の漫画やアニメのコスプレをする人や、アニメソングを演奏するバンドもいた。中国人とみられるアニメファンが、中国語のアクセントが残る日本語で楽しそうに歌っている様子を見ると、日本人として少し面はゆい気持ちになった。
足元では中国不動産大手の恒大集団が米国で破産申請するなど、不動産市況の悪化が中国経済の足かせになっている。景気減速を背景に消費マインドの弱さが目立つものの、日本製コンテンツの消費には依然勢いがある。中国大手ECサイトでは世界的なスマートフォンメーカーや外資系化粧品、アパレルなどが苦戦する中、ゲームについては任天堂の売り上げが力強く回復している。スイッチの人気ゲームソフト「ゼルダの伝説」の新作が5月に発売されたことも奏功した。
漫画やアニメについても、中国人の日本製コンテンツへの興味は非常に強い。上海市内には日本のコンテンツをテーマにしたコンセプトショップが多くあるが、新規開店ともなると多くのファンで黒山の人だかりができる。多くはZ世代と呼ばれる若者たちだ。
Z世代が消費けん引
近年、Z世代は中国消費市場の新たなけん引役として注目されている。米マッキンゼーの調査によると、中国のZ世代は他国の同世代より衝動買いをしやすく、かつブランドへのロイヤルティーが高い。足元では日本企業が対中ビジネスで苦戦しているとの報道が目立ってき…
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週刊エコノミスト
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