バスケで称賛 処理水で非難 中国の複雑な対日感情 奥山要一郎
有料記事
中国でのバスケットボールの競技人口は、一説では3億人にも上るという。人口約14億人のうち、4、5人に1人というからすごい人気だ。その中国で、バスケットボール男子のワールドカップ(W杯)での日本チームの活躍に対し、称賛する声があふれている。
例えば、中国のショート動画上には「真『灌籃高手』現実版」との書き込みがあった。「灌籃高手」とは日本の人気漫画「SLAM DUNK」(スラムダンク)のこと。「スラムダンクのリアル版だ」という意味で、日本チームの活躍ぶりを称賛している。
日本チームの戦いぶりが話題になり始めたのは、8月27日のフィンランド戦で大逆転勝利を収めたころだ。動画アプリでは、スラムダンクの主題歌が添えられた試合動画が多く投稿されていた。特に、スリーポイントシュートを次々と決める河村勇輝選手の躍動ぶりをたたえる中国人が多かった。
この河村選手、実は4年前に中国のネット番組に“出演”している。テンセントが自社動画サイトで配信したリアリティー番組「籃板青春(リバウンド青春)」。中国の高校生がバスケを通じて成長する姿を描いたもので、フィナーレの試合で対戦相手となったのが、河村選手(当時は高校生)が率いる福岡第一高校だった。上海で開催されたこの「日中戦」は、オンライン観戦者がなんと1600万人に上ったという。福岡第一が小差で勝利したが、「日本のチームは団結力があって素晴らしかった」などのコメントも見られた。
昨年のサッカーW杯で、日本チームがドイツ、スペインという強豪を次々と破る姿に、中国の多くの若者が熱狂した姿は記憶に新しい。三苫薫選手は現地サッカー通の間で「三球王」と呼ばれるなど人気だ。スポーツに関しては、素直に日本の強さを認め、羨望(せんぼう)のまなざしを向ける人もいる。
バスケW杯で、日本は通算3勝2敗、出場32カ国中19位だったが、中国はわずか1勝で29位に終わった…
残り576文字(全文1376文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める