バークレイズ 英国有数の名門金融機関 宮川淳子
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Barclays 利上げ続き利ザヤ改善/91
バークレイズは銀行、投資銀行、証券、クレジットカードなどユニバーサルバンキング(総合的な金融業務)を営む英国の銀行持ち株会社だ。傘下企業に英国事業のバークレイズUKや、法人・投資銀行事業のバークレイズ・インターナショナルなどがある。
創業333年
バークレイズは創業年を333年前の1690年とする。金を扱う金融業者の「金匠銀行家」2人がロンドン中心部の金融街シティーで「フリーム&グールド」を開業した年だ。創業者の娘婿、ジェームズ・バークレイがのちに加わり、1896年に他行と合併して株式会社化し、「バークレイ&カンパニー」に改称した。その後も英国内や植民地の銀行と合併を繰り返し、英国有数の大手行となった。
1967年に英国初の現金自動受払機(ATM)を導入、87年には英国初のデビットカードを発行するなど新技術を率先して取り入れたことでも知られる。
英国ではロイズ・バンキング・グループ、バークレイズ、ナットウエスト、HSBCの4大銀行がリテール貸し出しの6割を占める寡占が続き、収益性は高い。
バークレイズの22年度年次報告書によると、バークレイズUKの税前利益は前年度より多い26億ポンド(約4810億円)、欧米の金融機関が株主への利益還元能力を測る指標として重視する有形株主資本利益率(RoTE)は18.7%と高水準だった。バークレイズはグループ全体のRoTE10%超を中期経営計画の目標に掲げている。
金融デジタル化の流れを受け、英国でも銀行支店やATMが減っている。バークレイズUKの支店数は20年12月末の859店から22年12月末の481店へと大きく減少した。国際通貨基金(IMF)の調査では、英国の成人人口10万人当たりATM台数は17年の128台から22年の91台に減った。同じ間、127台から113台に減った日本より減少率が大きい。
英国では平日の昼休みに銀行窓口に並ぶ客の列をよく目にする。口座開設や住宅ローンの相談をするには予約が必要なことが多いが、予約できる日は最も早くて数週間先ということも珍しくない。英政府はサービス向上のため、スマートフォンなどのアプリを使うモバイルバンキングやキャッシュレス決済に関する規制を緩和している。
デジタル化の効果もあり、バークレイズUKの営業収益に対する経費率は21年度の68%から22年度の60%に改善した。さらに、富裕層向けのプライベートバンキング、スタートアップ企業への融資、消費者金融なども収益性の向上につながった。急速なインフレに直面したイングランド銀行(中央銀行)が21年12…
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週刊エコノミスト
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