モロッコでM6.8 阪神・淡路でも起きた逆断層型地震/162
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北アフリカ・モロッコの古都マラケシュの南西に70キロほど離れた内陸部で、現地時間の9月8日深夜、深さ23キロメートルを震源とするマグニチュード(M)6.8の地震が発生した。震源地の近くでは気象庁の震度階級に換算して震度5強から震度6弱相当の激しい揺れが観測され、北東に350キロメートル離れた首都ラバトでも揺れが感じられた。モロッコ中部では多数の建物が倒壊して甚大な被害が生じ、死者が2900人を超えるなど大災害となっている。
モロッコはアフリカプレートの上にあり、地中海西端のジブラルタル海峡をはさんで北側のユーラシアプレートに接する位置にある。プレート・テクトニクス理論では、アフリカプレートはユーラシアプレートに向かって年数センチメートルというゆっくりした速度で北へ移動している。今回の地震はモロッコを東西に貫くアトラス山脈の西端で発生したもので、山脈に沿って東西方向の「逆断層」がある。
「逆断層」とは岩盤どうしが押し合って片方の岩盤がもう片方の岩盤の上に乗り上げるタイプの断層で、気象庁が行った発震機構の解析によれば、今回の地震は南北方向へ圧力がかかる「逆断層型」の地震だった。なお、横ずれを伴う逆断層型の地震は1995年の阪神・淡路大震災でも起きている。
また、国土地理院による地球観測衛星「だいち2号」のデータ解析では、今回の震源付近が最大20センチメートル隆起し、南側は最大7センチメートル沈降する地殻変動が起きていたことが分かり、断層の動きと整合する。
石積みで被害増大
モロッコでの近年の地震活動は、二つのプレート境界がある北部で起きていたが、今回の地震はそれより南側で発生した。地震が頻発するプレート境界と異なり、ここでは過去に大規模な地震が少なかった。記録が残る1900年以降で見ると、今回の震源から500キロメートル以内の地域でM5以上の地震は9回起きていたが、M6を超えたの…
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週刊エコノミスト
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