教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

若い社員のキャリアをどう考えればいいでしょうか/191

ミノーシュ・シャフィク(1962年〜) エジプト出身のアメリカの経済学者。女性初の米コロンビア大学学長。国際機関で金融危機などに対応してきた実績を持つ。著書に『21世紀の社会契約』などがある。(イラスト:いご昭二)
ミノーシュ・シャフィク(1962年〜) エジプト出身のアメリカの経済学者。女性初の米コロンビア大学学長。国際機関で金融危機などに対応してきた実績を持つ。著書に『21世紀の社会契約』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 若い社員のキャリアをどう考えればいいでしょうか 終身雇用が前提ではなくなった今、若い社員のキャリアをどう考えればいいでしょうか? 彼らが会社を辞める手伝いはしたくないのですが。(IT企業、50代男性)

A キャリアとは枝葉を伸ばしていく木を登るようなものと考えましょう

 たしかに終身雇用が事実上終わり、雇用の流動化が当たり前になった今、新入社員が定年まで勤めあげるという前提は成り立たなくなっています。そうすると、会社で人を育てるということの意味も当然、変わってきます。

 そこで参考にしたいのが、アメリカの経済学者ミノーシュ・シャフィクの思想です。彼女の専門は経済学ですが、西洋思想の世界で長年論じられてきた「社会契約」をテーマにしていることから、あえて思想と呼びたいと思います。

 シャフィクによると、社会契約とは人間が社会の中でお互いに何をすべきかを決める規範、規則、法律を意味します。それは国家と市民の間だけでなく、家庭の中にもコミュニティーの中にも存在するといいます。

 そして私たちがそんな社会契約を結ぶ目的は、幸福度を高めるためだと主張するのです。その幸福度を決める要素には、健康、人間関係の質のほか、有意義な仕事が挙げられています。だからキャリアをどう考えるかが重要になってくるわけです。

学び直し人生を豊かに

 シャフィクのアドバイスは、キャリアとは梯子(はしご)を上るようなものではなく、…

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週刊エコノミスト

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