新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 株式市場が注目!海外企業

ダノン ヨーグルトを世界で販売 宮川淳子

フランス・パリのスーパーマーケットに陳列されるダノンのヨーグルト(Bloomberg)
フランス・パリのスーパーマーケットに陳列されるダノンのヨーグルト(Bloomberg)

Danone 値上げ効果で2022年度は大幅増収/97

 ダノンはフランス・パリに本社を置く、世界的な飲食料品メーカーだ。1919年、現在のギリシャ北部に当たるオスマン帝国出身のイサーク・カラッソがスペイン・バルセロナで創業した。

「エビアン」も展開

 同社のウェブサイトによると、カラッソは移住先のスペインで栄養失調に苦しむ子どもが多いことに気づき、出身地で一般的だったヨーグルトを製造・販売することにしたという。当時のスペインではなじみのない食品だった。29年に本社をフランスに移転。カラッソが死亡後の41年、経営を継いだ息子のダニエル・カラッソは渡米し、ヨーグルトを販売した。米国で発音しやすい「Dannon」のスペリングに変え、今も他国とは違うブランド名になっている。

 ダニエルは第二次世界大戦後、フランスに戻った。73年、ミネラルウオーターの「エビアン」やビールの「クローネンブルグ」などを傘下に持つ仏BSNと合併し、仏食品最大手となった。80年には味の素と合弁の日本法人を設立(のちにダノンの完全子会社化)。2009年、グループ・ダノンから現社名に改称した。

 22年度売上高は前年度比13.9%増の276億ユーロ(約4.4兆円)に上った。同社は事業セグメントをチルド乳製品と植物由来の製品(EDP)、専門栄養食品、ウオーターの三つに区分している。

 EDPは22年度売上高の54%を占め、ヨーグルト「ダノンビオ」「ダノン」「オイコス」(海外では名称が異なる場合がある)など▽コーヒー飲料などコーヒー関連製品▽アイスクリームなどデザート──の製品群からなる。EDPの売上高は前年度比13.1%増と、為替差益や値上げの効果があり、大きく伸びた。ただし、高インフレによるコスト上昇によって、経常利益率は21年度の10.4%から8.2%に低下。この水準は23年1~6月期も続いている。

 専門栄養食品は売上高の30%を占め、乳幼児向け食品、アレルギーがある小児向けの低刺激性製品、医療用栄養食などからなる。消費者には知名度が必ずしも高くないが、競合が少なくて価格圧力が低いことから、三つの事業セグメントで収益性は最も高い。専門栄養食品の経常利益率は21.6%に上り、同社の経常利益の過半を占める。

 ウオーターは売上高の16%を占め、世界的に有名な「エビアン」、インドネシア企業から買収した「アクア」、中国の「脈動(ミゾネ)」などの飲料水ブランドからなる。同事業で世界首位のスイス食品大手ネスレに次ぐ市場シェアを誇る。ウオーターの経常利益率は専門栄養食品を大幅に下回る8.2%にすぎないが、事業の安定性は高い…

残り1195文字(全文2295文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事