中国スポーツ市場で国産企業が台頭 崩れるナイキ・アディダスの牙城 奥山要一郎
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ナイキとアディダスの「2強時代」が続く中国のスポーツ市場で、安踏体育用品(アンタスポーツ)や李寧(リーニン)といった地場系ブランドの台頭が目立っている。自国ブランド推しの「国潮」ブームの追い風も受け、市場の構図が大きく変わりそうだ。
「2025年に中国市場トップ、30年に世界市場トップを目指す」。アンタは10月17日に北京で開いた投資家向けイベントで、壮大な目標を掲げた。華経産業研究院のまとめによると、22年の中国のスポーツアパレル市場でアンタのシェアは20.4%。ナイキ(22.6%)に次ぐ2位で、3位のアディダス(11.2%)、4位のリーニン(10.4%)を大きく上回った。市場でも「首位に立つのは時間の問題」との見方が多い。
世界一目指すアンタ
かつて、地場系スポーツブランドといえばリーニンの名を挙げる人が多かった。ロサンゼルス五輪(1984年)の金メダリストで、「体操王子」と呼ばれた李寧氏が自身の名前を冠したブランドだ。アンタのブランド設立は94年だが、買収戦略などでリーニンを猛追。11年に売り上げ規模で逆転し、名実ともに中国最大の「体育品牌」(スポーツブランド)となった。
アンタの大きな特徴はマルチブランド化だ。ブランド別の売上比率(22年)は、社名でもある「アンタ」が51.7%、09年に傘下に置いた「FILA」が40.1%だが、この他「コーロンスポーツ」(韓国のアウトドアブランド)、「キングカウ」(高級子ども服)、「デサント」を展開し、「ウイルソン」や「サロモン」などを保有するアメアスポーツにも出資している。10月のイベントでもマルチブランドを意味する「多品牌」というキーワードを前面に掲げた。
今後の注力分野は、「アウトドア」「キッズ」「女性」だという。アウトドアは、キャンプ、ウインタースポーツ、サイクリングなどがメインになる。中国では特に08年の北京五輪以降、ジョギ…
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週刊エコノミスト
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