『国家は巨大ITに勝てるのか』　小林泰明著　新潮新書　924円

　アマゾンにグーグル、X（旧ツイッター）といった巨大IT企業が市場支配力を一層強めるのに対し、公正競争を担保しようと規制強化を図る各国政府。読売新聞記者がその激しいせめぎ合いの実態を紹介する。エリート人材を多数採用し、事業内容を正当化するロビー活動を展開。研究者の論文に資金提供して学会との結び付きを固めるなど、圧倒的な財力もフル活用するIT企業。「企業の公共性」の観点とはかけ離れたしたたかな姿に恐ろしくなる。（W）

週刊エコノミスト2023年12月26日・2024年1月2日合併号掲載

『国家は巨大ITに勝てるのか』　小林泰明著　新潮新書　924円