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国際・政治 鎌田浩毅の役に立つ地学

アイスランドで火山活動 短時間で4000人避難/168

 アイスランド南西部のレイキャネス半島で火山が噴火する可能性が高まっている。首都レイキャビクから南西40キロメートルにある港町グリンダビークでは10月下旬から群発地震が頻発し、11月10日にはマグニチュード(M)5.2を記録する地震も起きた。また、市街地では地表面に亀裂が入り道路が各所で陥没したため、住民約4000人が避難する事態となった。

 群発地震の原因は、地下でマグマが割れ目を作りながら南西方向に貫入し、15キロメートルほど進んだためである。公表された写真から判断すると、有感地震を伴いながら地表が約1メートル開口すると同時に約1メートル沈降したと考えられる。

 大西洋の中央部を縦断するプレート境界が上陸したアイスランドは世界有数の火山国で、2021年3月には約800年ぶりにレイキャネス半島のファグラダルスフィヤル火山が噴火し、大量の溶岩が流出した。さらに、昨年8月にも噴火したほか、今年7月には近くのリトリ・フルトゥル火山も噴火している。

 過去には1210~40年に地表が開口して溶岩が大量に流出した記録があり、「レイキャネス・ファイヤー」と呼ばれている。レイキャネス半島で起きた一連の活動はこれと類似しており、数十年規模で散発的に噴火が発生する火山の活動期が始まったと考えられている。

迅速な避難体制

 地下でマグマの貫入が継続して海まで達すると「マグマ水蒸気爆発」が起きる危険性がある。高温のマグマが水と接触して激しい爆発を起こし、噴煙や火山灰を出す噴火で、2010年にはアイスランド南部のエイヤフィヤトラヨークトル火山で発生した(本連載の第72回を参照)。

 この時は氷河の下からマグマが上昇して水と接触し、大量の火山灰を噴き上げて欧州の上空に拡散した。この影響で欧州各地の空港が閉鎖され、数週間で航空機10万便以上が欠航するなど、物流が世界規模で停滞した。

 今後、マグマが海水と接触する…

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週刊エコノミスト

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