米ハイテク株に吹く「三つの追い風」 渡辺浩志
米国のハイテク株が堅調だ。そこには三つの追い風が吹く。
第一にAI(人工知能)が起こすイノベーションへの期待の高まり、第二に米国の景気減速に伴う長期金利の低下、第三に半導体サイクル(半導体需要の周期的な増減)の好転──である。
図1は、米国の長期金利とハイテク株価(ナスダック100指数)の動きを見たものだ。長期金利は上下反転させている。
通常、金利が上がれば株価は下がるが、2022年末以降は、株価の金利離れとも呼ぶべき動きが鮮明化している。それはちょうど、チャットGPTのような生成AIが出現し、世間の話題をさらった時期と重なる。イノベーションに対する投資家の期待が一気に高まったことで、ハイテク株価は金利上昇の重荷を跳ねのけて上昇した。
23年8月以降は、米国財政の悪化や議会の混乱による格下げ懸念から米国債が売られ、景気とは無関係な「悪い金利上昇」が進んだ。ここではさすがのハイテク株も幾分軟化した。
だが、10月に入ると長期金利は低下に転じた。金融引き締め開始から1年半が経過するなかで米国の雇用・物価指標が鈍化し始め、利上げサイクルの終了や利下げの観測が高まったためだ。株式市場では金利低下を好感した株高、いわゆる「金融相場」への期待が高まり、金利への感応度が特に高いハイテク株が押し上…
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週刊エコノミスト
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