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日本のインフレも金利正常化を促す展開になってきた 藻谷俊介

 4月の当コラムで、日本のインフレはアメリカのインフレと逆で、圧倒的にモノのインフレであって、サービスのインフレではないことを示した。当時のアメリカでは主に家賃が高騰することにより、サービス価格が上昇し、「粘着質のインフレ」という言葉が流行していた。

 日本でも、いい意味で軽度のインフレが定着すれば、日銀の異例の金融緩和も終了し、金利構造も正常化されるという期待があった。筆者もベアやインバウンド需要の伸びがインフレの定着を促すという期待を述べておいた。

 それから半年以上の期間が経過した。現在、地方で生活している筆者も、上京する際に都内でロケーションの良い手ごろなホテルを見つけることがほぼ不可能になっており、インバウンド需要の復活は身をもって体験している。では、それは実際にサービス価格にも影響しているのだろうか。

 図1は、消費者物価指数の中の外食と宿泊料という二つのカテゴリーの合計値をリアルタイムのインフレ率で示したものである。ここでのリアルタイムとは、慣習的な1年前との物価比較ではなく、季節調整をかけたうえで3カ月間の短いスパンで計算した、その時々の足元のインフレ率(年率換算値)である。

 これを見ると、確かにインバウンドの効果らしきものは確認できる。コロナ禍直前のインバウンド・ブームの…

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