文科省に新年度「火山本部」発足 “3周遅れ”の巻き返しに期待/170
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政府として火山の観測や調査・研究を一元的に行う「火山調査研究推進本部」(火山本部)が2024年4月、文部科学省に発足する。活動火山対策特別措置法(活火山法)の改正案が23年6月、参院で可決・成立し、火山本部の設置が決まった。
火山研究や防災行政はこれまで、文科省をはじめとして気象庁や内閣府など複数の省庁にまたがっていたが、火山本部がその司令塔となって総合的な調査観測計画を策定し、関係する機関の予算調整を行う。さらに、活火山を持つ自治体に対して、専門家の育成と持続的な確保に助力する。また、1911年に浅間山に国内初の火山観測所ができた8月26日を「火山防災の日」と定め、全国で防災訓練を実施する。
日本列島は世界の約1割に相当する111の活火山がある「火山大国」であり、そのうち最も危険性の高い50火山を「常時観測火山」として24時間体制で監視している。一方、火山を研究する大学教員は「40人学級」とも呼ばれるほど人数が少なく、国立大学が法人化した04年以降は一段と人員と予算が減っている(本連載の第115回を参照)。
火山災害への対策は地震対策から「3周も遅れている」と嘆かれる中、14年には岐阜・長野県境の御嶽山が水蒸気噴火を起こし、死者58人、行方不明者5人を出す戦後最悪の火山災害となった。こうした状況を受けて火山本部がやっと立ち上がることになった。
地震に関してもその経緯は似ている。阪神・淡路大震災(1995年1月)の発生後、7月に地震調査研究推進本部(地震本部)が総理府(現在は文科省)に発足し、観測網が大きく整備されたほか、巨大地震への備えを広めることに貢献した。
富士山など噴火待機
火山現象は100年や1000年単位の時間軸で起きる。日本列島では鹿児島沖の鬼界(きかい)アカホヤ噴火(7300年前)のような陥没カルデラを作る大規模噴火が約1万年に1回の頻度で発生しており、低頻…
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週刊エコノミスト
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