スコットランドの独立不発とパンダ里帰りの関係とは 酒井元実
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英国北部スコットランドのエディンバラ動物園に貸与されていたジャイアントパンダ2頭が2023年12月4日、中国へと返還された。
オスの陽光(ヤングァン)とメスの甜甜(ティエンティエン)が贈られたのは11年。表向きにはパンダに関する理解を深め、種の世界的な保全活動への貢献が主な目的とされた。しかし、中国によるパンダ外交の経緯をたどると、含みを持った友好のジェスチャーがあったようだ。
パンダが贈られた年の5月、スコットランド独立を公約に掲げたスコットランド国民党(SNP)が議会選挙で過半数を占め大勝。石油をはじめとする豊富な地下資源があり、「独立しても単独で国の財政を賄える」と踏んだSNPと、資源獲得の多様化を進めたい中国の思いが交錯した。独立の是非を問う住民投票が14年9月に実施される前に、中国はパンダを贈ることで独立後の体制を下支えする意思を示したことは想像に難くない。実…
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週刊エコノミスト
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