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年初来の株高は実体経済の反映と言えそう 藤代宏一

 内閣府が発表(1月12日)した2023年12月の景気ウオッチャー調査は、人々が肌で感じる景況感の悪化が一服したことを示唆する内容となった。

 国内景気を推し量るうえで有用な同調査は23年2月から8月まで「現状判断DI」と「先行き判断DI」がともに50を上回る珍しい状況を記録した。その後、9~11月は双方とも50を下回っていたが、12月は「現状」が50.7へと浮上した。実質賃金はマイナス圏に甘んじているものの、名目賃金が持続的に上昇するとの期待感もあり、消費者の財布のひもがやや緩んでいる可能性がある。

 24年に入った後、株価が急上昇したことについて「実体経済の回復を伴っているのか?」という疑念もあるが、街角の景気は悪くなさそうだ。

 現状判断DIは3カ月前から現在への景況感の変化を問う。12月の50.7は11月から1.2ポイントの改善だった。23年春闘の賃上げ率が約30年ぶりの伸び率で着地し、今年も同程度かそれ以上の賃上げが見込まれる。食料品を中心とした値上げの波も一服し、それらに関する報道も下火になったことで、消費者の「体感物価」が低下した可能性がある。この間、類似指標の消費者態度指数(内閣府)は12月に37.2と3カ月連続で改善し、23年中の最高値を更新した(図1)。

個人消費は底堅い

 現状判断DIの中身を見ると、家計動向関連が50.7と前月から0.6ポイント改善。その内訳は飲食(5…

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週刊エコノミスト

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