常態化した経済対策の効果は限定的 斎藤太郎
政府は、追加歳出13.2兆円の経済対策(デフレ完全脱却のための総合経済対策)を策定し、この裏付けとなる2023年度補正予算を成立させた。対策による実質国内総生産(GDP)の押し上げ効果は年率1.2%程度(今後3年程度)とした。しかし、この試算は過大と考えられる。
新型コロナウイルスの流行が始まった20年度以降、毎年大型の補正予算が編成されているが、その規模は21年度以降縮小が続いている(図1)。
このため、経済対策による押し上げ幅も年々小さくなっているはずだが、政府の試算は経済対策がなかった場合を前提としている。経済対策が常態化する中で、そのような試算にどれほどの意味があるのか疑問である。
補正予算の成立は毎年年度末近くになり、予算が消化しきれないことが多いのも試算が過大と考える理由の一つだ。
実際、予算の未使用額は20年度が34.7兆円(うち翌年度繰越額が30.8兆円、不用額が3.9兆円)、21年度が28.7兆円(うち翌年度繰越額が22.4兆円、不用額が6.3兆円)、22年度が29.3兆円(うち翌年度繰越額が18.0兆円、不用額が11.3兆円)と非常に大きなものとなっている(図2)。
24年度も補正予算が不可避
短期間でまとめなければならない補正予算は、事業の選択が場当たり的なものになることも多く、無駄な支出につながりやすいという問題もある。
近年の補正予算の中には、本来は当初予…
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週刊エコノミスト
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