日本の活断層/2 日本海東縁ひずみ集中帯 西端に能登半島地震の震源/173
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1月1日に起きた能登半島地震では、日本海の海底で長さ150キロメートルに及ぶ震源断層が割れ、犠牲者230人を超す大災害となった(本連載の第171、172回を参照)。今回の震源断層の位置は「日本海東縁ひずみ集中帯」(日本海東縁変動帯)と呼ばれる変動域の西端にある。日本海東縁ひずみ集中帯は、主要活断層として今後も地震・津波を引き起こす可能性が高い。
日本列島の地下では4枚のプレート(岩板)がひしめき合っており、世界屈指の変動帯を形成している。海のプレート(太平洋プレートとフィリピン海プレート)が、陸のプレート(北米プレートとユーラシアプレート)の下に沈み込むことによって、2011年の東日本大震災をはじめとするマグニチュード(M)9クラスの海溝型巨大地震を引き起こしてきた。
プレートの沈み込みは、日本列島に対しても水平方向の圧力を加え、岩盤の弱い箇所で破断を起こすことで、直下型地震を繰り返し発生させてきた。日本列島が受けたストレスは、GPS(全地球測位システム)を用いてセンチメートル単位の地殻変動として観測され、日本海に沿って長さ1000キロメートルの「ひずみ」が集中する領域があることが00年以降、徐々に分かってきた。
日本海東縁ひずみ集中帯の海底では、南北方向の断層や褶曲(しゅうきょく)などの地殻変動を表す地形が確認されており、中央部に北米プレートとユーラシアプレートの衝突境界が通っている(図)。断層は圧縮力によって岩盤が割れることで起きる「逆断層」で、能登半島地震の震源断層も北西─南東方向に傾斜した逆断層型だった。
佐渡島近くで要警戒
プレート境界では、1940年の積丹半島沖地震(M7.5)、64年の新潟地震(M7.5)、83年の日本海中部地震(M7.7)、93年の北海道南西沖地震(M7.8)、07年の新潟県中越沖地震(M6.8)などの地震が多発し、津波が日本海沿岸に到達した…
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週刊エコノミスト
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