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列島を1000年ぶりに襲う天災 国がすべきは復興と減災だ 片山杜秀

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

片山杜秀の闘論席

 2011年の東日本大震災は1000年に1度の出来事とよく呼ばれる。869年のいわゆる貞観地震と重なるところが多いからだ。そのときも東北地方の太平洋岸に広く大津波が押し寄せた。

 9世紀後半の日本は絵に描いたような災害列島で、貞観地震の前後にはたくさんの地震や火山噴火が折り重なるようにこの国を襲った。まず863年に新潟や富山で大地震。本年元日の能登半島地震や04年の新潟県中越地震を想起せぬわけにはゆくまい。翌864年は富士山が大噴火し、阿蘇も火を噴く。868年には兵庫と大阪で立て続けに大震。1995年の阪神・淡路大震災が思い出される。その翌年に貞観地震が発生したのだ。

 871年には出羽の鳥海山が大噴火。878年には南関東で大地震。現代流に言えば首都直下型だ。それから9年後の887年、ついに南海トラフを震源域とする超巨大地震が発生。仁和(にんな)地震と呼ばれる。京の都も揺れた。『百人一首』に収められた「君がため春の野に出でて若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ」という和歌で知られる光孝天皇も、この地震の余震が続く中で崩御した。心労か、それとも地震による怪我のせいか。

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