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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

ポストコロナの今、接待続きの日常に悩んでいます/202

リチャード・ローティ(1931~2007年)。アメリカの哲学者。ネオプラグマティズムの代表的思想家として知られる。著書に『哲学の脱構築』などがある。(イラスト:いご昭二)
リチャード・ローティ(1931~2007年)。アメリカの哲学者。ネオプラグマティズムの代表的思想家として知られる。著書に『哲学の脱構築』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q ポストコロナの今、接待続きの日常に悩んでいます ポストコロナの昨今、また以前のように接待が続く日常を送っています。私はもともとうまく接待ができない方なので、コロナ禍が懐かしくさえ思えます。いったいどうやって日々を乗り切っていけばいいでしょうか。(会社員・30代男性)

A 接待はバザールのようなものと考え、「残酷さの回避」に努めよう

 たしかに、一度はなくなった接待がまた復活しているようですね。人間というのは交わることで関係性を深めていく生き物ですから、深い交わりを可能にする飲食の場は、ビジネスの交渉手段としても有効なのでしょう。

 しかし、そうした交わりを苦痛に感じる人がいるのもよくわかります。好きでもない人たちと飲食をして、深く交わらなければならないというのは、ある意味酷な話です。精神的にも疲れるでしょう。

 では、どうすればいいのか? 参考にしたいのはアメリカの哲学者リチャード・ローティの思想です。ローティは、「公と私」はまったく異なる次元のものであるとして、それぞれ「バザールとクラブ」という秀逸な比喩を使って説明しています。バザールとは中東の市場のような雑多な公の場です。これに対してクラブとは、英国紳士の排他的なサークルのような私的な場です。

感情をコントロール

 そして人々は、避けることのできないバザールでは感情をうまくコントロールしてビジネスライクに付き合い、その後クラブに戻って落ち着けばいいといいます。

 接待もある意味でバザールなのでしょう。仕事をしている以上、避けることのできない交渉の場です。ただ、そこでは自分の感情のコントロールを意識してビジネスライクに付き合っておけば…

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