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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

60代の独身男性。恋愛にちゅうちょしています/203

シモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908~1986年)。フランスの作家、哲学者。フェニミズムの視点から批評を行った。著書に『第二の性』などがある。(イラスト:いご昭二)
シモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908~1986年)。フランスの作家、哲学者。フェニミズムの視点から批評を行った。著書に『第二の性』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 60代で独身。周囲が気になり恋愛することにちゅうちょします 私は60代で今独り身なのですが、最近気になる女性がいます。相手も同世代で同じような状況なのですが、どうしても、この年になって恋愛することにちゅうちょします。周囲の目も気になります。どうすればいいでしょうか?(会社員・男性)

A 恋は「経験への郷愁」の産物。ゆえに年齢に合うペースで愛を育むのです

 人を愛することに年齢は関係ないと思います。ましてやお互いに独身であるのなら、なんら問題ないでしょう。ただ、どうしても高齢者の恋愛や性に関してはタブー視される風潮があるため、周囲の目を気にせざるを得ないのはよくわかります。

 そこで参考にしたいのは、フランスの哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワールの思想です。ボーヴォワールといえば「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」の名言で知られるフェミニズムの活動家です。また、哲学者サルトルとの枠にとらわれない恋愛でも知られます。何しろ2人は既存の結婚制度の枠にとらわれることなく、お互いの浮気を認め合っていたのですから。

 そんなボーヴォワールが、老いと性についても論じています。彼女は、人は「経験への郷愁」を持つといいます。つまり、誰しも若かりし頃、恋愛をした経験があると思いますが、いくつになってもその経験が懐かしく思えて、同じ経験を求め続けるということです。

 したがって、いくつになっても恋愛や性への関心を持ち続けるというわけです。たとえ肉体がどう変化していこうと。ただ、その肉体的変化、言い換えると老いによって、変わっていかなければならない部分があるのもたしかです。

肉体的衰えの自覚は必須

 そう…

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