日本の活断層/3 新潟─神戸ひずみ集中帯 東西に毎年1~2センチ縮む地殻/175
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今年1月に発生した能登半島地震は、新潟県沖から北海道沖の日本海側に広がる地殻の変動域「日本海東縁ひずみ集中帯」の西端で起きた(本連載の第173回参照)。そして、日本にはもう一つ重要なひずみ集中帯がある。「新潟─神戸ひずみ集中帯」(新潟─神戸構造帯)である。
新潟県から信濃川を通って神戸市に至る幅200キロメートル、長さ500キロメートルの地域は、日本列島の中でも地殻の変形(ひずみ)が特に大きい。全国に張り巡らされた国土地理院のGPS(全地球測位システム)の観測網(GEONET)によって、日本列島を東西方向に押す力が地盤を縮めていることが2000年に判明した。
日本列島を作る地殻の平均的なひずみ速度は、100キロメートル当たり年間5ミリメートル程度であるのに対し、新潟─神戸ひずみ集中帯ではその数倍の1~2センチメートルずつ毎年縮んでいる。このほか、新潟─神戸ひずみ集中帯の直下では、地殻の電気伝導度が小さく比較的柔らかい岩盤が地下深部に存在している可能性がある。
太平洋プレートの沈み込みによって岩盤が絶えず北西─南東方向に押された結果、新潟─神戸ひずみ集中帯より西側の地殻は東へ移動し、東側の地殻は西へと移動する変動が現在も進行中である。
「予兆」は確認できず
一方、日本海東縁ひずみ集中帯は、北海道や東北が乗る北米プレートとその西側にあるユーラシアプレートが衝突することによって、長期間にひずみを蓄積した領域である。海底に活断層や活褶曲(かつしゅうきょく)があることから、300万年ほど前から地盤が短縮したことが地質学的に示された領域であり、現在のひずみ速度の速さによって確認される新潟─神戸ひずみ集中帯とは作られた時間軸が異なる。
これら二つのひずみ集中帯は新潟県から長野県で重なっており、新潟─神戸ひずみ集中帯には過去に発生した大地震が分布している(図)。具体的には、1847年の善光…
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週刊エコノミスト
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