S・ホームズ×段田安則 期待のタッグで観る王国の悲劇 濱田元子
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舞台 パルコ・プロデュース「リア王」
ヒトゴロシイロイロ──。英国を代表する文豪、ウィリアム・シェイクスピアの生年と没年の、少々物騒な語呂合わせだ。1564年に生まれ、1616年に亡くなった。確かに、作品には血なまぐさい権力抗争が多いのも事実だ。
人となりには多くの謎が残されているが、一般的に40作とされる戯曲には、いつの世も変わらない多様な人間の心理や生き様が描かれている。人生の機微をうがってくるセリフも多い。「ひとつの時代に属するのではなく、あらゆる時代に属するもの」(ベン・ジョンソン)といわれるゆえんであろう。
戯曲は悲劇、喜劇、歴史劇、悲劇でも喜劇でもない問題劇、ロマンス劇に大きく分類される。その悲劇の中でも、特に「四大悲劇」と称されるのが「ハムレット」(1600年ごろ)、「オセロー」(03年ごろ)、「マクベス」(06年ごろ)、そして今回上演される「リア王」(06年ごろ)である。いずれも日本で繰り返し上演されている。
英国ではローレンス・オリビエら名優が演じてきたタイトルロールを担うのは実力派の段田安則。英国のショーン・ホームズが演出する。2022年に同じくパルコ劇場で上演され、斬新な演出、段田の自在な演技と存在感が評判を呼んだアーサー・ミラーの「セールスマンの死」以来のタッグとなる。期待の顔合わせだ。
退位を決めたリア王(段田)は、3人の娘に自らの王国を分け与えることを決め、愛の表現を求める。長女ゴネリル(江口のりこ)と次女リーガン(田畑智子)が耳触りのいいことを言う一方、溺愛していた三女コーディリア(上白石萌歌)が追従を言わないことに怒ったリアは勘当を言い渡し、コー…
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週刊エコノミスト
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