北條一浩/桐山友一
編集部から
コロナ禍以降、一気に利用者が増え、今や欠かせない手法となったオンライン取材。場所を選ばず対話できる便利さは周知のとおりだが、やや大げさに言えば、これによって失ったものもあると考える。
相手の微妙な表情の変化や熱などがそれだが、特に感じるのは写真撮影の時。インタビューが終わって「では写真を」となった際、緊張が解けて取材テーマと関係ないムダ話に花が咲いたり、思いがけないエピソードを披露してくれたりする。
こうしたあれこれが、その人の特徴や仕事の本質をつかむ際に、意外なほど役に立つことがある。取材時のフォーマルな回答と、くだけた世間話とのあいだに、なにかヒントが落ちていることがある。
撮影は対面しないことには始まらない。私自身は撮影能力に乏しいが、傍らに立っているだけでも得るものは大きいと、確信している。
(北條一浩)
世界不平等データベースのサイトを見ていると、いろいろと興味深い。米国の所得階層別の所得シェアは2022年、上位10%の富裕層が5割弱、このうち上位1%の超富裕層は2割を超す一方、下位50%の貧しい層は1割にも満たない。
富裕層のシェア上昇と貧しい層のシェア低下の傾向は1980年以降から始まり、冷戦終結後に顕著となって現在まで続く。同時に上位11~50%の中間層の没落もはっきりと表れる。日本は米国ほどではないものの、傾向は似たようなものだ。
本誌2022年1月4日号でもインタビューした米スタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授は、その著書で有史上、平等化は①戦争、②革命、③(国家)崩壊、④疫病──によって達成されたという。第三次世界大戦すら語られる今だが、根源には格差が拡大し続ける経済・社会構造がある気がしてならない。
(桐山友一)
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