週刊エコノミスト Online編集後記

稲留正英/荒木涼子

編集部から

 2月22日の東京株式市場で、日経平均株価が一時、3万9156円を付け、終値でも1989年12月の史上最高値3万8915円を上回った。バブル崩壊による金融危機やその後のデフレ経済を経験してきた者として、感慨深い。

 日本中がバブルに酔いしれていた89年の春、私はドイツで政治学を学んでいた。担当教授に「ベルリンの壁はいつ無くなるのか」と聞いたところ、「今後、50年間は崩れることはない」と断言された。だが、壁はその年の11月に崩壊した。私にとり、日経平均の最高値更新は、「ベルリンの壁崩壊」に匹敵する出来事といえる。

 テクノロジーがものすごい速さで進化する一方、武力で国境を変更しようとする前世紀の論理も復活している。この先、世界はどこに向かうのか。株式相場の先行きを知るうえでも、ますます、確かな情報は欠かせなくなってくる。

(稲留正英)

 子どもは成長があっという間だ。洋服もオムツも、離乳食用の食器も、数カ月で次のサイズへと「卒業」する。0歳児と2歳児を育てる私にとり、もはやフリマアプリ「メルカリ」は欠かせない。百貨店に並ぶ新品に手が出ずとも、アプリ内では再販すらもくろみながら、商品ページをむさぼっている。同じくアプリを活用する子育て中の友人はそんな購買行動を「メルカリの沼」と表現した。

 物価上昇や株価が連日ニュースをにぎわせ、GDP(国内総生産)など経済指標の話題も聞かない日はない。でも数字はどこまで人間の心理を反映できているのだろう。沼にハマろうと、特別な日には「新品」を衝動買いする。自然界の物質は人類がまだ未発見の法則はあれど、数学や物理学で説明できる。だが「心」まで数式化できるのだろうか。指標で幸せは測れるのか、と思いながらGDPの変遷を見つめている。

(荒木涼子)

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