日経平均4万円突破! 今こそ新NISAで長期分散投資を 編集部
日経平均株価が3月4日、終値が4万109円23銭と初めて4万円の大台に乗った。2月22日にバブル期の1989年12月に付けた終値の最高値(3万8915円87銭)を34年ぶりに更新した後も、勢いは一向に衰えない。米国株の主要指数も連日のように最高値を記録し、今年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)による投資家の裾野拡大を強力に後押ししている。
埼玉県の介護福祉士の男性(35)は投資歴12年。運用資産は今年に入ってから2割も増えた。旧NISAのころは三菱UFJフィナンシャル・グループや日本製鉄などの高配当銘柄を保有していたが、新NISAでは「つみたて投資枠」を開始。全世界の株価指数(インデックス)に連動するインデックス投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資。空いた時間に株価が気になるほど、投資にのめり込んでいるという。
新NISAではこうしたインデックス型の外国株式ファンドが爆発的に人気を集めている。ニッセイ基礎研究所の前山裕亮主任研究員によると、制度開始から1カ月の間に国内で一般販売されたインデックス型ファンドへの資金流入は約9600億円。これは過去最大だった23年10月の2.4倍にも上る。前山氏は「新NISAで売れ行きがいかにすごかったかが分かる」と話す。
あおぞら銀ショック
ただ、足元の株価上昇を手放しで喜ぶわけにもいかない。前週末比198円41銭高となった3月4日の日経平均株価を詳しく見てみると、構成225銘柄のうち値上がりは84銘柄の一方、値下がり136銘柄と値下がり銘柄のほうが多い。値上がり銘柄も、東京エレクトロン(前週末比2.4%高)、アドバンテスト(同3.7%)など、半導体関連銘柄への偏りが目立つ。
高配当で人気を集めていた銘柄にも突然、変化が訪れる。配当利回り5%前後と銀行セクターの中でも高配当だったあおぞら銀行が2月1日、黒字見通しだった24年3月期の連結純損益を一転、赤字に転落すると修正し、23年10月〜24年3月期の配当見送りも発表。あおぞら銀株価は1月31日から2月2日まで34%も一気に値下がりした。特定業種や銘柄に偏った投資はあまりにリスクが大きい。
そもそも、日本の国内総生産(GDP)は、23年10〜12月期まで2四半期連続のマイナス成長。物価高の中で個人消費が冷え込み、実質賃金は昨年12月まで21カ月連続のマイナスを記録する。そうした中で迎えた株高は、資産を着実に増やすための限られたチャンス。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は「長期で時間を味方に付ければ負けない可能性が高く、利益が大きくなる傾向にある」と話す。
日経平均株価がバブル崩壊後の最安値7054円98銭を付けたのは09年3月。株主還元の積極化や東証改革などもへて、15年で5.6倍に上昇した。腰を据えて今、長期分散投資に臨めば、将来にきっと大きな花が咲くはずだ。
(編集部)
週刊エコノミスト2024年3月19・26日合併号掲載
勝つ投資 新NISAで歴史的高値到来 時間を味方にしっかり分散=編集部