千葉沖でスロースリップ 懸念される347年前の延宝房総沖地震の再来/178
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千葉県の房総半島と東方の沖合で2月26日以降、地震が頻発している。3月1日にはマグニチュード(M)5.2の地震が発生し、千葉県と埼玉県で震度4の揺れを観測した。震源の深さはいずれの地震も30キロメートル前後で、地震のメカニズムは北北西─南南東方向に圧力軸をもつ逆断層型である。
この地下では、陸域の北米プレートの下にフィリピン海プレートと太平洋プレートが沈み込んでいる。このため、M6規模の地震がしばしば発生し、震源が陸に近い場合は最大震度5弱~5強の強い揺れとなる。1987年の千葉県東方沖地震(M6.7)では震度5を観測したほか、2021年には千葉県北西部が震源の震度5強を観測した地震により、重傷者3人と軽傷者39人、住家火災2件を出した(本連載の第73回を参照)。
この領域では過去には数年に1度程度の頻度で、フィリピン海プレートと北米プレートの境界面が時間をかけて動くスロースリップ(ゆっくりすべり)現象が観測されている。国土地理院によると、今回のプレート境界面上のすべりは最大約2センチメートルである。また、96年、02年、07年、11年、14年、18年には、スロースリップが起きた後、1週間~数カ月程度地震活動が継続し、07年には最大震度5弱を観測している。
スマトラ沖で8年後
首都圏の下には3枚のプレートがひしめき合っており、世界的にも地震の起きやすい変動地域にある(本連載の第156回を参照)。具体的には、首都圏は北米プレートという陸のプレート上に乗っているが、その下では南からフィリピン海プレートという海のプレートが沈み込み、さらにその下に東から太平洋プレートという別の海のプレートが潜り込んでいる。
こうしたプレートの境界が一気に滑ったり、また地下の岩盤が大きく割れたりすることで、さまざまなタイプの地震が発生する。こうした状況が近い将来、「首都直下地震」と呼ばれる巨大地震を…
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週刊エコノミスト
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